【マイナスの角】
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(-\theta)&=-\sin\theta \\
\cos(-\theta)&=\cos\theta \\
\tan(-\theta)&=-\tan\theta
\end{alignat*}\]
【\(\theta\pm\pi/2\)】
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\theta\pm\pi/2)&=\pm\cos\theta \\
\cos(\theta\pm\pi/2)&=\mp\sin\theta \\
\tan(\theta\pm\pi/2)&=\mp\frac{1}{\tan\theta}
\end{alignat*}\]
【\(\theta\pm\pi\)】
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\theta\pm\pi)&=-\sin\theta \\
\cos(\theta\pm\pi)&=-\cos\theta \\
\tan(\theta\pm\pi)&=\tan\theta\quad(変わらない)
\end{alignat*}\]
解説
覚えるのは3つだけ!試験の現場での立ち向かい方
今回は、三角関数の各種公式を解説します。
ただ、三角関数の分野は、公式が多すぎて、覚えきれない・・・ と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
私も、その気持ちは、非常によくわかります(実際、私も、全ては覚えていません。。。)
では、どうやって問題を解いているのか。
中途半端に覚えた状態で公式を使うと、間違った公式を適用して、間違った計算にもなりかねません。
ポイントは、試験の現場で、覚えていない(もしくは、自信のない)変換が必要になったときは、自分で公式を導出するということです。
そこで、今回の解説では、公式の導出自体ではなく、三角関数の変換が必要になったときに、どうやって立ち向かえばよいか、という観点で説明します。
これを身につければ、
- 覚えることが少なくなる(最低限の3つだけ覚えればOK)
- あやふやな知識を適用して間違った計算をするリスクが減る
と、一石二鳥です!それでは早速見ていきましょう。
公式の導出は、以下の 5 Stepで行います。
(Step0は「事前準備」、Step1~4は「試験の現場」での手順です)
【Step 0】 最低限として、以下のABCを丸暗記しておく。
- A. \(-\theta\) → \(\sin\) は 「-」 、\(\cos\) は 「+」が前に出る
- B. \(\theta\pm\pi/2\) → \(\sin\) と \(\cos\)が入れ替わる(\(\sin\) は \(\cos\) 、\(\cos\) は \(\sin\))
- C. \(\theta\pm\pi\) → そのまま(\(\sin\) は \(\sin\) 、\(\cos\) は \(\cos\))
これだけは、最低限として、覚えておくようにしましょう。
、、、とはいえ、緊張などでどうしても忘れてしまうこともあると思います。
その場合は、頭に単位円を思い浮かべて、\(\sin\) と \(\cos\) は入れ替わりそうか、そのままっぽいかを、なんとかひねり出しましょう。諦めたらそこで試合終了です。
【Step1】 BCが使える状態にするため、Aを適用する
例えば、\(\sin(\pi/2-\theta)\) を考えます。
このままでは、BCのいずれにも当てはまらないので、BCが使えません。
そこで、BCを使えるように(無理やり)Aを使って変換することを考えます。具体的には、
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\pi/2-\theta)&=\sin\{-(\theta-\pi/2)\}&&(変換①)\\
&=-\sin(\theta-\pi/2)\quad(\because 上のA)&\qquad&(変換②)
\end{alignat*}\]
このとき、とりあえず、Aを使ってみよう! ではなく、
- BCを使える形を、無理やり、作る(変換①)
- 変換①で不要な(邪魔な)符号が出てきたので、Aを使って調整する(変換②)
という頭の使い方をしている点に注意してください。
この発想がないと、やみくもに変換を繰り返して、試験時間のムダ遣いになりかねません。
【Step2】 とりあえず、BCを適用した結果を計算用紙に書く
Step1で、BCが使えるようになったので、実際にBCを適用します。
このとき、マイナスを付け加えられるように、少しだけ隙間を開けておくのがポイントです。(以下の?の部分)
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\pi/2-\theta)&=-\sin(\theta-\pi/2) \\
&=-(\ ?\ \cos\theta)\quad(\because 上のB)
\end{alignat*}\]
【Step3】 単位円を頭に思い浮かべて、プラスか、マイナスかを決定する
BCを適用する際に、符号が逆になる(変換の時にマイナスがつく)場合があります。
そこで、符号はそのままか、逆になるかを、単位円を思い浮かべて、決定していきます。
なお、ミスをなるべく減らすため、慣れない内は、実際に単位円を描いてみることをおススメします。慣れてくれば、時間節約のため、頭の中でパパっとやってしまいましょう。
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\pi/2-\theta)&=-\sin(\theta-\pi/2) \\
&=-(-\ \cos\theta)\quad(\because 下の図)
\end{alignat*}\]

【Step4】 式をきれいにして計算終了
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\pi/2-\theta)&=-(-\ \cos\theta) \\
&=\cos\theta
\end{alignat*}\]
これで、無事に、使いやすい形に変換できました。
この手順を踏めば、基本的にどのような変換も可能です(少なくとも高校で出てくる範囲では)。
今回は説明のため、5Stepに分けて説明しましたが、慣れてくれば、単位円を頭に思い浮かべるだけで、一気に最終結果を導くこともできるようになると思います。
何度も練習して、ぜひ、こちらの式変形をマスターしてください!
\(\tan\) の式変形
ここまでの解説で、\(\sin\) と \(\cos\) の式変形を見てきました。
、、、と、ここで、「\(\tan\) はどうしたらいいの?」と思われたかもしれません。
実は、\(\tan\) は、\(\sin\) と \(\cos\) の式変形から、簡単に導くことができます。
例として、\(\tan(\pi/2+\theta)\) を考えてみましょう。ポイントは、\(\tan=\frac{\sin}{\cos}\) という関係です。
\[\begin{alignat*}{3}
\tan(\pi/2+\theta)&=\frac{\sin(\pi/2+\theta)}{\cos(\pi/2+\theta)}&\quad&(\because\tan=\frac{\sin}{\cos}) \\
&=\frac{-\cos\theta}{\sin\theta}&&(\because 上のStep0~4) \\
&=-\frac{1}{\frac{\sin\theta}{\cos\theta}} \\
&=-\frac{1}{\tan\theta}&&(\because\tan=\frac{\sin}{\cos})
\end{alignat*}\]
となり、導出できました。
もし、その他のパターンが出題された場合でも、\(\tan=\frac{\sin}{\cos}\) という関係に注意すれば、同様に導出することができます。
おわりに
今回は、三角関数の各種公式について、試験の現場での立ち向かい方を解説しました。
三角関数の攻略のコツは、
- 覚えるのは必要最小限にとどめる
- 試験の現場で、1秒でも早く式変形できるよう、何度も練習する
ということに尽きます。
特に、練習の際は、必ず単位円を描いてみることを強くおススメします。
事前準備として、単位円を描いて公式を導出した経験が、きっと実際の試験で皆さんを助けてくれると思います。
ぜひ、何度も練習を繰り返し、試験の現場で使える力を身につけましょう!
【マイナスの角】
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(-\theta)&=-\sin\theta \\
\cos(-\theta)&=\cos\theta \\
\tan(-\theta)&=-\tan\theta
\end{alignat*}\]
【\(\theta\pm\pi/2\)】
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\theta\pm\pi/2)&=\pm\cos\theta \\
\cos(\theta\pm\pi/2)&=\mp\sin\theta \\
\tan(\theta\pm\pi/2)&=\mp\frac{1}{\tan\theta}
\end{alignat*}\]
【\(\theta\pm\pi\)】
\[\begin{alignat*}{3}
\sin(\theta\pm\pi)&=-\sin\theta \\
\cos(\theta\pm\pi)&=-\cos\theta \\
\tan(\theta\pm\pi)&=\tan\theta\quad(変わらない)
\end{alignat*}\]
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