【三角形の内角の二等分線と、辺の比】
\(\triangle ABC\) の \(\angle ACB\) の二等分線と、辺 \(AB\) の交点を点 \(P\) としたとき、
\(AP\) : \(BP\) \(=\) \(CA\) : \(CB\)

今回は、三角形の内角の二等分線と、辺の比に関する定理を解説します。
こちらの定理は、定理自体の証明というよりも、共通テストの図形問題や、ベクトル(数学III)などで非常によく利用します。
定理を使ったことはあるけど、なぜ成り立つのかは、イマイチよくわからない、という方も結構いらっしゃるかと思います。ぜひ、今回の解説を通して、「なんとなく成立しそう」から卒業して、自信をもって定理を使いこなせるようになりましょう!
ちなみに、似たような定理として、「三角形の外角の二等分線と、辺の比に関する定理」というのも存在します。
こちらは、少々マイナーで、使う機会もそれほど多くはないと思われるため、今回の解説からは外しました。また機会があれば、別のところで解説してみたいと思います。
【三角形の外角の二等分線と、辺の比】
\(\triangle ABC\) の 辺 \(AC\) を \(C\) の方向に延長した直線と、辺 \(BC\) のなす外角を考える。その外角の二等分線と、辺 \(AB\) を \(B\) の方向に延長した直線の交点を点 \(Q\) としたとき、
\(AQ\) : \(BQ\) \(=\) \(CA\) : \(CB\)

解説
それでは、解説に入ります。以下のような図形を考えてみます。

まず、点\(B\) から \(CP\) に平行な直線を引きます。
そして、それと辺 \(AC\) を \(C\) 方向に延長した直線の交点を、点 \(D\) としました。
ここで、\(CP\ /\!/\ DB\) のため、以下の関係にあることがわかります。
- \(\angle PCB=\angle CBD\ (\because\ 錯角)\)
- \(\angle ACP=\angle CDB\ (\because\ 同位角)\)
このことから、\(\angle CBD=\angle CDB\) のため、\(\triangle CBD\) は、\(CB=CD\) の二等辺三角形となります。

一方で、\(\triangle ACP\) と \(\triangle ADB\) は、
- \(\angle CAP=\angle DAB\ (\because\ 角を共有)\)
- \(\angle ACP=\angle ADB\ (\because\ 同位角)\)
から、\(\triangle ACP\) ∽ \(\triangle ADB\) となります(三角形の2つの角が等しい)。
\(\triangle ACP\) と \(\triangle ADB\) の相似比を考えると、
\[AP:PB=AC:CD\]
であり、上で見た通り、\(\triangle CBD\) は、\(CB=CD\) の二等辺三角形のため、
\(AP\) : \(PB\) \(=\) \(AC\) : \(CD\)
\(\Leftrightarrow\) \(AP\) : \(BP\) \(=\) \(CA\) : \(CB\)
となって、\(AP\) : \(BP\) \(=\) \(CA\) : \(CB\) という関係が得られました。

おわりに
お疲れさまでした!今回は、三角形の内角の二等分線と、辺の比に関する定理を見てきました。
よく使う定理のわりに、証明をした経験がある、という方は、意外と少なかったのではないでしょうか。
証明自体は結構あっさりしていて、一度身に着けてしまえば、自力でも、比較的簡単に証明できます。
ぜひ、「大体どういう流れで証明していた」のか復習し、自信をもって定理を使うことができるようになりましょう!
【(復習)証明の流れ】
- 二等分線と平行な直線を引き、辺の交点を考える
- 平行線の錯角・同位角の関係から、二等辺三角形を見つけ、どの辺の長さが等しいか確認する
- 共有角・平行線の同位角の関係から、相似な三角形を見つけ、相似比を考える
ちなみに、、、
こちらの定理にも、「方べきの定理」のような、通称?愛称?のようなものがあればいいのですが、
毎回、「三角形の内角の二等分線と、辺の比の定理」のような呼び方をしていて、伝わりづらさにモヤモヤしています。。。
もしご存じの方がいらっしゃったら、コメントで教えていただけるとありがたいです!
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