二重根号

【二重根号の外し方】

  1. 二重根号の係数が「2」になるように、無理やり調整する
  2. 解と係数の関係(の逆)を利用して2次方程式を立て、二重根号を外した後のルートの中身を得る
  3. 得られた2次方程式の解の内、値が大きい方を \(a\)(前)として、\(\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) とすれば、二重根号を外すことができる

【二重根号が外せる場合・外せない場合の判定方法】
二重根号 \(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}\) に対して、\(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) となるような有理数 \(a,\)\(b\) が存在する(※)
\(\Longleftrightarrow\ {X}^{2}-4Y\) が平方数

(※)いわゆる「二重根号が外せる」という状態です

今回は、二重根号について見ていきます。

共通テストでは定番のテーマですし、学校の定期テストでもよく出題されるものかと思います。

1度でもやったことがあれば、ほとんど機械的に処理できるものです。
それだけに、解けないと、どうしても周りに差が付けられてしまう、という少々シビアなテーマでもあると思います。

ぜひ、不安が残る方は、こちらで再確認しておきましょう!

解説

二重根号の仕組みと、二重根号が外せる理由

まずは、具体的な問題に入る前に、二重根号がどのような理屈で外せるのかを少し見ておきましょう。

自然数 \(a,\)\(b\) \((a>b\ (>0))\) に対して、\(\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) という値を考えます。これを2乗して整理すると、

\[{(\sqrt{a}\pm\sqrt{b})}^{2}={(\sqrt{a})}^{2}\pm2\sqrt{a}\cdot\sqrt{b}+{(\sqrt{b})}^{2}\]

\[\therefore\ {(\sqrt{a}\pm\sqrt{b})}^{2}=(a+b)\pm2\sqrt{ab}\]

両辺の平方根をとると、

\[\begin{alignat*}{3}
&\sqrt{{(\sqrt{a}\pm\sqrt{b})}^{2}}=\sqrt{(a+b)\pm2\sqrt{ab}} \\
\Leftrightarrow\ &\textcolor{#FF0000}{|\sqrt{a}\pm\sqrt{b}|}=\sqrt{(a+b)\pm2\sqrt{ab}}
\end{alignat*}\]

\(a>b>0\) なので、\(\sqrt{a}\pm\sqrt{b}>0\) であることに注意して、絶対値を外すと、

\[\sqrt{(a+b)\pm2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\]

となり、二重根号が外せました。

※この変形でポイントとなるのは、赤文字にした、この部分です。

\[\sqrt{{(\sqrt{a}\pm\sqrt{b})}^{2}}=\textcolor{#FF0000}{|\sqrt{a}\pm\sqrt{b}|}\]

通常、\(\sqrt{{A}^{2}}\) という形を整理すると、

\[\sqrt{{A}^{2}}=|A|=\textcolor{#FF0000}{\pm}A\]

と、\(A\) の符号により、プラスとマイナスの2つの数をとりえることになります。

今回は、先に、\(a>b>0\) という条件を設定することで、\(A=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}>0\) しかとりえない状態にした上で、検討を進めました。

これが、実際に二重根号を外す問題(特に、\(\sqrt{(a+b)\textcolor{#FF0000}{-}2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}\textcolor{#FF0000}{-}\sqrt{b}\))を解く上でも重要になってきます。

どういうことかは、下の具体例で見ていきましょう。

二重根号を外した結果 \(\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) は、\(a>b>0\) という条件を満たすように探す!

二重根号の外し方(二重根号の係数がプラスの場合)

二重根号の係数が2の場合

それでは、具体的な例題を使って解き方を見ていきましょう。まずは、最もスタンダードな問題です。

<例題>
\(\sqrt{9+2\sqrt{14}}\) の二重根号を外せ

<解答>
与えられた二重根号を、\(\sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b}\) という形に変形します。

そのためには、具体的に、自然数 \(a,\)\(b\) \((a>b\ (>0))\) を求める必要があり、

  • \(\sqrt{9+2\sqrt{14}}\)
  • \(\sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}\)

見比べると、\(a+b=9,\)\(ab=14\) であることがわかります。

これくらいなら、えいや!で出せないこともないですが、値が少し大きくなっても太刀打ちできるように、汎用的なやり方を見てみましょう。それは、

解と係数の関係(の逆)を利用することです。

解と係数の関係(の逆)より、\(a,\)\(b\) は、次の2次方程式の解となります。

\[{x}^{2}-(a+b)x+ab=0\]

この \((a+b),\)\(ab\) に上で見た \(a+b=9,\)\(ab=14\) を代入して、2次方程式を解くと、

\[\begin{alignat*}{3}
&{x}^{2}-(a+b)x+ab=0 \\
\Leftrightarrow\ &{x}^{2}-9x+14=0 \\
\Leftrightarrow\ &(x-2)(x-7)=0
\end{alignat*}\]

\[\therefore\ x=2,7\]

今、\(a>b\) としているため、\(a=7,\)\(b=2\) と求められました。したがって、これを \(\sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b}\) に戻すと、

\[\sqrt{9+2\sqrt{14}}=\sqrt{7}+\sqrt{2}\]

と求めることができました。

※途中で利用した、「解と係数の関係(とその逆)」は、数学IIの「いろいろな式」という単元で学習します。
まだ勉強してないよー、という方は、こちらも併せてご覧いただければと思います。

二重根号の係数が2以外の場合

続いて、二重根号の係数が2となっていない場合の解き方を見てみましょう。
少し工夫が必要ですが、ほぼ係数が2の場合と同じです。

<例題>
\(\sqrt{7+3\sqrt{5}}\) の二重根号を外せ

<解答>
まずは、与えられた二重根号が、\(\sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}\) の形になっていないので、無理やりこの形を作ります。

係数の \(3\ (=\sqrt{9})\) を二重根号の中に入れて

\[\sqrt{7+3\sqrt{5}}=\sqrt{7+\sqrt{9}\cdot\sqrt{5}}=\sqrt{7+\sqrt{45}}\]

そして、\(\sqrt{7+\sqrt{45}}=\frac{\sqrt{7+\sqrt{45}}}{1}\) と考えて、分子・分母に \(\sqrt{2}\) を掛け算すると、

\[\begin{alignat*}{3}
\frac{\sqrt{7+\sqrt{45}}\times\sqrt{2}}{1\times\sqrt{2}}&=\frac{\sqrt{(7+\sqrt{45})\cdot 2}}{\sqrt{2}} \\
&=\frac{\sqrt{14+2\sqrt{45}}}{\sqrt{2}}
\end{alignat*}\]

この分子の形であれば、二重根号の係数が2なので、\(\sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b}\) という形に変形可能です。

実際にやってみると、2次方程式 \({x}^{2}-14x+45=0\) を解いて、\(x=5,\)\(9\) なので、

\[\sqrt{14+2\sqrt{45}}=\sqrt{9}+\sqrt{5}=3+\sqrt{5}\]

したがって、

\[\begin{alignat*}{3}
\sqrt{7+3\sqrt{5}}&=\frac{\sqrt{14+2\sqrt{45}}}{\sqrt{2}} \\
&=\frac{3+\sqrt{5}}{\sqrt{2}} \\
&\stackrel{\mathrm{(※)}}{=}\frac{(3+\sqrt{5})\cdot\sqrt{2}}{\sqrt{2}\cdot\sqrt{2}} \\
&=\frac{3\sqrt{2}+\sqrt{10}}{2}
\end{alignat*}\]

(※)「二重根号を外せ」という問題なので、この前で解答終了!でも間違いではないですが、一応、分母の有理化くらいはしておいた方が、個人的にはよい気がしています
(ただし、計算ミスの危険もあるので、底はご自身の判断でお願いします)

二重根号の外し方(二重根号の係数がマイナスの場合)

ここまでで、二重根号の係数がプラスの場合を見てきました。次は、これがマイナスの場合を見てみましょう。

<例題>
\(\sqrt{6-\sqrt{20}}\) の二重根号を外せ

<解答>
まずは、前の章で見た、例題と同様に、\(\sqrt{(a+b)-2\sqrt{ab}}\) の形になっていないので、無理やりこの形を作ります。

\(20={2}^{2}\cdot 5\) であることを利用すると、\(\sqrt{20}=\sqrt{{2}^{2}\cdot 5}=\sqrt{{2}^{2}}\cdot\sqrt{5}=2\sqrt{5}\) となるので、

\[\sqrt{6-\sqrt{20}}=\sqrt{6-2\sqrt{5}}\]

となり、\(\sqrt{(a+b)-2\sqrt{ab}}\) の形にすることができました。この形なら、\(\sqrt{(a+b)-2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}-\sqrt{b}\) と変形できます。

前の章で見たとの同様に、解と係数の関係(の逆)を利用して、具体的に検討すると、\(a,\)\(b\) は、2次方程式 \({x}^{2}-6x+5=0\) の2つの解 \(x=1,\)\(5\) となります。

ここで、注意が必要なのが、

どちらを \(a\)、どちらを \(b\) にするか

ということです。

仮に、\(a=1,\)\(b=5\) としてみると、

\[\sqrt{6-\sqrt{20}}\ \stackrel{\mathrm{???}}{=}\ \sqrt{1}-\sqrt{5}\]

となりますが、

  • 左辺は、正(符号がついてない)
  • 右辺は、負

という、おかしな結果になってしまいます。したがって、\(a=5,\)\(b=1\) とすべきだったのですが、それをいちいち意識するのは大変ですし、計算ミスが発生する元です。そこで、

二重根号を外した結果 \(\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) は、必ず、\(a\) (前)が大きくなる

と覚えてしまいましょう。

二重根号を外した結果 \(\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) は、\(a>b>0\) という条件を満たすように探す!(再掲)

したがって、

\[\sqrt{6-\sqrt{20}}=\sqrt{5}-\sqrt{1}=\sqrt{5}-1\]

と求めることができました。

(Appendix)二重根号が外せる場合・外せない場合の判定方法

ここまでで二重根号の外し方を見てきました。

二重根号の問題は、外して簡単な形にする問題がほとんどで、基本的にはここまでで十分だと思うのですが、どういう場合に外せるのかを簡単に表せるため、Appendixとしてご紹介します。

【二重根号が外せる場合・外せない場合の判定方法】
二重根号 \(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}\) に対して、\(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) となるような有理数 \(a,\)\(b\) が存在する(※)
\(\Longleftrightarrow\ {X}^{2}-4Y\) が平方数

(※)いわゆる「二重根号が外せる」という状態です

<証明>
\(\Rightarrow,\)\(\Leftarrow\) に分けて証明します。

(\(\Rightarrow\))
\(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) \((a>b)\) とおき、両辺を2乗すると、

\[\begin{alignat*}{3}
&{\biggl(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}\biggr)}^{2}={(\sqrt{a}\pm\sqrt{b})}^{2} \\
\Leftrightarrow\ &X\pm 2\sqrt{Y}=(a+b)\pm 2\sqrt{ab}
\end{alignat*}\]

したがって、

  • \(X=a+b\)・・・①
  • \(Y=ab\)・・・②

解と係数の関係(の逆)より、\(a,\)\(b\) は、2次方程式 \({x}^{2}-(a+b)x+ab=0\) の2つの解です。この2次方程式に①②を代入して、

\[{x}^{2}-X\cdot x+Y=0\]

\[\therefore\ x=\frac{X\pm\sqrt{{X}^{2}-4Y}}{2}\]

今、\(a>b\) としているので、\(a=\frac{X+\sqrt{{X}^{2}-4Y}}{2},\)\(b=\frac{X-\sqrt{{X}^{2}-4Y}}{2}\) として、\(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) に戻すと、

\[\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}=\sqrt{\frac{X+\sqrt{{X}^{2}-4Y}}{2}}\pm\sqrt{\frac{X-\sqrt{{X}^{2}-4Y}}{2}}\]

もし、\({X}^{2}-4Y\) が平方数でないとすると、右辺に平方根の入れ子となった部分が残ってしまい、二重根号が外せてない状態になってしまいます。

したがって、「\({X}^{2}-4Y\) が平方数である」といえ、題意は示されました。

(\(\Leftarrow\))
「\({X}^{2}-4Y\) が平方数である」ことから、自然数 \(p\) を用いて、\({X}^{2}-4Y={p}^{2}\) と書けます。

これを \(Y\) について解くと、\(Y=\frac{X+p}{2}\cdot\frac{X-p}{2}\) となるので、

\[\begin{alignat*}{3}
&\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}} \\
&{\small=\sqrt{\Bigl(\frac{X+p}{2}+\frac{X-p}{2}\Bigr)\pm 2\sqrt{\frac{X+p}{2}\cdot\frac{X-p}{2}}}}
\end{alignat*}\]

とできます。両辺を2乗すると、

\[\begin{alignat*}{3}
&X\pm 2\sqrt{Y} \\
&{\small=\Bigl(\frac{X+p}{2}+\frac{X-p}{2}\Bigr)\pm 2\sqrt{\frac{X+p}{2}\cdot\frac{X-p}{2}}} \\
&{\small={\biggl(\sqrt{\frac{X+p}{2}}\biggr)}^{2}\pm 2\sqrt{\frac{X+p}{2}\cdot\frac{X-p}{2}}+{\biggl(\sqrt{\frac{X-p}{2}}\biggr)}^{2}} \\
&={\biggl(\sqrt{\frac{X+p}{2}}\pm\sqrt{\frac{X-p}{2}}\biggr)}^{2}
\end{alignat*}\]

\(X+p>X-p\) に注意して、両辺の平方根をとると、

\[\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}={\small\sqrt{\frac{X+p}{2}}\pm\sqrt{\frac{X-p}{2}}}\]

\(X,\)\(p\) は自然数であり、\(\frac{X+p}{2},\)\(\frac{X-p}{2}\) はいずれも有理数であることから、\(\frac{X+p}{2}=a,\)\(\frac{X-p}{2}=b\) と置けます。そのため、

\[\begin{alignat*}{3}
\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}&={\small\sqrt{\frac{X+p}{2}}\pm\sqrt{\frac{X-p}{2}}} \\
&=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}
\end{alignat*}\]

となり、題意は示されました。

(証明終了)

なお、こちらの命題から、「二重根号が外せる ⇒ \({X}^{2}-4Y\) が平方数」であり、この対偶をとると、「\({X}^{2}-4Y\) が平方数でない ⇒ 二重根号が外せない」となります。

そのため、なんとなく二重根号を外して簡単になりそうなのに、見つからない。。。と困ってしまったときは、

「\({X}^{2}-4Y\) が平方数になっているか」を確かめてみる

と、そこまでで計算を終了してよいと、判断できるかもしれません。

おわりに

お疲れさまでした!今回は、二重根号について解説してきました。

二重根号は、とにかく計算を「速く」「正確に」できるようになることが重要ですので、ぜひ、多くの問題にあたって、計算に慣れておくようにしましょう。

また、Appendixとしてご紹介した「二重根号が外せる場合・外せない場合の判定方法」については、あまり知られていない判定方法な気がしていまして、こちらで解説してみました。

こちらは少々余裕のある方向けとなると思いますが、もしよろしければ、「豆知識」としてストックしてみていただけるととてもうれしいです!

【二重根号の外し方】

  1. 二重根号の係数が「2」になるように、無理やり調整する
  2. 解と係数の関係(の逆)を利用して2次方程式を立て、二重根号を外した後のルートの中身を得る
  3. 得られた2次方程式の解の内、値が大きい方を \(a\)(前)として、\(\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) とすれば、二重根号を外すことができる

【二重根号が外せる場合・外せない場合の判定方法】
二重根号 \(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}\) に対して、\(\sqrt{X\pm 2\sqrt{Y}}=\sqrt{a}\pm\sqrt{b}\) となるような有理数 \(a,\)\(b\) が存在する(※)
\(\Longleftrightarrow\ {X}^{2}-4Y\) が平方数

(※)いわゆる「二重根号が外せる」という状態です

コメント

タイトルとURLをコピーしました