階差数列で与えられる数列の一般項

【階差数列で与えられる数列の一般項】
数列 \(\{{a}_{n}\}\) の階差数列を \(\{{b}_{n}\}\) とすると、数列 \(\{{a}_{n}\}\) の一般項は、\[{a}_{n}={a}_{1}+\sum^{n-1}_{k=1}{b}_{k}\quad(n\geqq 2)\]

解説

階差数列のイメージ

公式の導出に入る前に。
階差数列では、元の数列と、階差数列の2つの数列が登場するため、なんとなく話がゴチャゴチャになり、訳が分からなくなりがちです。。

階差数列のイメージを簡単に図解していますので、わからなくなったら、こちらに戻って確認するようにしてみてください。

階差数列で与えられる数列の一般項

それでは、実際に、階差数列で与えられる数列の一般項を導出していきます。
(なお、上のイメージを見れば、一般項の形はほぼ明らかですが、公式の導出自体が出題された場合に備え、解答を想定した導出を行います。)

数列 \(\{{a}_{n}\}\) の階差数列を \(\{{b}_{n}\}\) とすると、階差数列 \(\{{b}_{n}\}\) の各項は、以下のように与えられます。
\[\begin{alignat*}{3}
{b}_{1}\ &={a}_{2}-{a}_{1} \\
{b}_{2}\ &={a}_{3}-{a}_{2} \\
{b}_{3}\ &={a}_{4}-{a}_{3} \\
&・・・ \\
{b}_{n-2}&={a}_{n-1}-{a}_{n-2} \\
{b}_{n-1}&={a}_{n}-{a}_{n-1}
\end{alignat*}\]

ここで、これらの式の両辺をそれぞれ足すと、右辺は、\({a}_{n}-{a}_{1}\) だけ残ります。
つまり、\[{b}_{1}+{b}_{2}+{b}_{3}+・・・+{b}_{n-2}+{b}_{n-1}={a}_{n}-{a}_{1}\]
したがって、\[{a}_{n}={a}_{1}+\sum^{n-1}_{k=1}{b}_{k}\]が得られます。

\(n\geqq 2\) の意味

上で、導出した数列 \(\{{a}_{n}\}\) の一般項ですが、実は1つ、重要な注意点があります。
それは、\(n=1\) の場合に成立するかの検証が必要 ということです。

なぜ、\(n=1\) の場合の検証が必要なのか。それは、上の導出で得られた式を見るとわかります。
先ほど導出した式は、\[{a}_{n}={a}_{1}+\sum^{n-1}_{k=1}{b}_{k}\]です。ここで、両辺に(形式的に)\(n=1\) を代入すると、\[{a}_{1}={a}_{1}+\sum^{0}_{k=1}{b}_{k}\]となってしまい、\[\sum^{0}_{k=1}{b}_{k}\]の部分が困ってしまいます。そこで、\(n=1\) については、別に検証が必要になります。

ちなみに、実は、大学受験で出てくる階差数列は、ほとんどの場合で、\(n=1\) の時も成立します。(その理由は、いつか別の機会に解説します)
そのため、大学受験に絞っていえば、\(n=1\) の時も成立するのが前提で、もし成立しなければ、どこかで計算ミスがないか疑ったほうが良い かもしれません。

おわりに

今回は、階差数列について解説しました。

階差数列は、なんとなく見た目が複雑で、しかも \(n\geqq 2\) というあまり見かけない条件もついていることから、なんとなくニガテと感じられている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、上で見てきたように、元の数列 \(\{{a}_{n}\}\) と階差数列 \(\{{b}_{n}\}\) をしっかり区別して理解できれば、公式の意味や、 \(n\geqq 2\) という条件自体はそれほど難しい事を言っているわけではありません。

ぜひ、公式の導出過程を理解して、ニガテ意識を克服しましょう!

【階差数列で与えられる数列の一般項】
数列 \(\{{a}_{n}\}\) の階差数列を \(\{{b}_{n}\}\) とすると、数列 \(\{{a}_{n}\}\) の一般項は、\[{a}_{n}={a}_{1}+\sum^{n-1}_{k=1}{b}_{k}\quad(n\geqq 2)\]

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