指数の自然数以外への拡張

実数 \(a\ (>0),b\ (>0),r,s\) に対し、

  • \({a}^{r+s}={a}^{r}\cdot{a}^{s}\)
  • \({a}^{r-s}={a}^{r}\div{a}^{s}\)
  • \(({a}^{r})^{s}={a}^{rs}\)
  • \({(ab)}^{r}={a}^{r}\cdot{b}^{r}\)
  • \((\frac{a}{b})^{r}=\frac{{a}^{r}}{{b}^{r}}\)

今回は、指数の自然数以外への拡張を取り扱います。

例えば、\({a}^{-2}\cdot{a}^{5}={a}^{3}\) や、\(({a}^{-\frac{3}{5}})^{2}=\frac{1}{{a}^{\frac{6}{5}}}\) という計算自体は、皆さんできるかもしれませんが、そもそも、\({a}^{-2},{a}^{-\frac{3}{5}}\) とは・・・?という方は結構いらっしゃるのではないかと思います。

ポイントは、自然数で成立する指数法則が、自然数以外でも成立するように、(無理やり)定義したということです。

このページでは、

  • 自然数以外の範囲での定義の再確認
  • どうしてこのような定義にしたのか(「気持ち」の部分)
  • その定義により、確かに、自然数以外の範囲でも指数法則が成立する

という3点を確認することで、\({a}^{-2}\) や、\({a}^{-\frac{3}{5}}\) が何を意味するのか、なんとなく分かるようになることを目指します。

自然数→整数→有理数→無理数(→複素数)と拡張を考えること(一般化)は、数学の非常に基本的な流れとなり、大学に入学してからも、非常に重宝する考え方です。

それでは、解説を始めましょう!

(補足①)
今回の解説は、自然数の場合の指数法則が前提となります。不安な方は、先にこちらをご覧になってください。

(補足②)
実数への拡張については、厳密には、実数の稠密性(≒実数が数直線上にぎっしり詰まっていること)についての議論が必要となります。こちらは大学で学習する範囲になるため、なんとなく、そうなりそうだ、という限度での解説を行います。

(補足③)
指数は、複素数の範囲まで拡張することも可能(一部修正が必要)ですが、明らかに高校の範囲を超えてしまい、こちらは大学受験で出てくることは、まずもってないと思われるため、解説から外しています。

解説

整数への拡張

\(0\) 乗・\((-m)\) 乗の定義

それでは早速、整数への拡張について見ていきます。

自然数→整数へ拡張するにあたり、\(0\) 乗と \((-m)\) 乗を、以下のように定義します。

  • \({a}^{0}\stackrel{\mathrm{def}}{=}1\)
  • \({a}^{-m}\stackrel{\mathrm{def}}{=}\frac{1}{{a}^{m}}\)

\(0\) 乗・\((-m)\) 乗の「気持ち」

上で定義した、\(0\) 乗と \((-m)\) 乗ですが、先人たちは、なぜこのような定義にしたのか。その「気持ち」の部分を確認してみましょう。

指数について考えるとき、\(1\) 乗→ \(2\) 乗→ \(3\) 乗→・・・と乗数を増やして考えることが通常と思いますが、ここではあえて、乗数を減らしていく方向に考えてみましょう。

すると、\(m\) 乗から順に、\(\times\frac{1}{a}\) 倍され、\({a}^{1}\ (=a)\) まで \(1\) つずつ \(a\) の乗数が減っていることがわかります。(当然と言えば当然ですが。)

ここで、もう一つ進んで、\({a}^{0}\) を考えたいとなったとき。

どうでしょう、上の流れを踏襲すると、\({a}^{1}\ (=a)\) に \(\times\frac{1}{a}\) をしたいと思いませんか??

そうです!これが、\({a}^{0}\stackrel{\mathrm{def}}{=}1\ (={a}^{1}\times\frac{1}{a})\) と定義したかった理由(=気持ち)です!

また、さらに進んで、\({a}^{-1}\) も定義してみます。

ここでも、上の流れを踏襲したい!とすると、\({a}^{0}\) から \({a}^{-1}\) に進むときに、\(\times\frac{1}{a}\) をしたい、ということになります(よね?)

そして、これを繰り返せば、\({a}^{-m}\stackrel{\mathrm{def}}{=}\frac{1}{{a}^{m}}\) という式になります。

\(0\) 乗・\((-m)\) 乗の定義により、整数の範囲で指数法則が成り立つこと

ここまでで、\(0\) 乗・\((-m)\) 乗を、なぜ以下のように定義したのか、先人たちの気持ちを推し量ってきました。

  • \({a}^{0}\stackrel{\mathrm{def}}{=}1\)
  • \({a}^{-m}\stackrel{\mathrm{def}}{=}\frac{1}{{a}^{m}}\)

、、、とは言え、ただ「こう定義したい!」という気持ちで定義しても、好き勝手に決めるだけ決めて、使いものにならないのでは、全く意味がありません。

そこで、この定義が使いものになりそうか、という観点で、チェックしてみましょう。

自然数の範囲で指数を考えたとき、以下の等式が成り立つのでした。

  • \({a}^{m+n}={a}^{m}\cdot{a}^{n}\quad・・・①\)
  • \(({a}^{m})^{n}={a}^{mn}\quad・・・②\)
  • \({a}^{m-n}={a}^{m}\div{a}^{n}\quad(a\ne 0,m>n)・・・③\)
  • \({(ab)}^{m}={a}^{m}\cdot{b}^{m}\quad・・・④\)
  • \((\frac{a}{b})^{m}=\frac{{a}^{m}}{{b}^{m}}\quad(b\ne 0)\quad・・・⑤\)

もし、上の定義が使えるものであれば、これらの式で、\(0\) 乗や \(-m\) 乗を考えたときも、等式が成り立ってほしいですよね。

実際に確かめてみると、以下の通り、自然数の範囲で得られた性質である指数法則が、整数でもうまく成り立ちそうです!

(先ほどの定義を適用した個所は、赤文字で記載)

【①式】\({a}^{m+n}={a}^{m}\cdot{a}^{n}\)

【I】\(n=0\) のとき、左辺=右辺で、OK

  • 左辺=\({a}^{m+n}={a}^{m+0}=\) \({a}^{m}\)
  • 右辺=\({a}^{m}\cdot{a}^{n}=\) \({a}^{m}\cdot{a}^{0}={a}^{m}\cdot 1\) \(={a}^{m}\)

【II】自然数 \(m’,n’\) に対し、\(m=-m’,n=-n’\) と置いたとき、負の整数 \(m,n\) に対して、左辺=右辺が成立するため、OK

  • 左辺=\({a}^{m+n}={a}^{-m’+(-n’)}=\) \({a}^{-(m’+n’)}=\frac{1}{{a}^{(m’+n’)}}\)
  • 右辺=\({a}^{m}\cdot{a}^{n}=\) \({a}^{-m’}\cdot{a}^{-n’}=\frac{1}{{a}^{m’}}\cdot\frac{1}{{a}^{n’}}\) \(=\frac{1}{{a}^{m’}\cdot{a}^{n’}}\stackrel{\mathrm{(※)}}{=}\frac{1}{{a}^{(m’+n’)}}\)

(※)この式変形では、自然数の範囲で確認済みの指数法則 \({a}^{m+n}={a}^{m}\cdot{a}^{n}\) を適用しています。

【②式】\(({a}^{m})^{n}={a}^{mn}\)

【I】\(n=0\) のとき、左辺=右辺で、OK

  • 左辺=\(({a}^{m})^{n}=\) \(({a}^{m})^{0}=1\)
  • 右辺=\({a}^{mn}={a}^{m\cdot 0}=\) \({a}^{0}=1\)

【II】自然数 \(m’,n’\) に対し、\(m=-m’,n=-n’\) と置いたとき、負の整数 \(m,n\) に対して、左辺=右辺が成立するため、OK

  • 左辺=\(({a}^{m})^{n}=\) \(({a}^{-m’})^{-n’}=\frac{1}{({a}^{-m’})^{n’}}=\frac{1}{\Bigl(\frac{1}{{a}^{m’}}\Bigr)^{n’}}\) \(\stackrel{\mathrm{(※)}}{=}\frac{1}{\Bigl(\frac{1}{{a}^{m’n’}}\Bigr)}={a}^{m’n’}\)
  • 右辺=\({a}^{mn}={a}^{(-m’)\cdot(-n’)}={a}^{m’n’}\)

(※)この式変形では、自然数の範囲で確認済みの指数法則 \((\frac{a}{b})^{m}=\frac{{a}^{m}}{{b}^{m}}\ (b\ne 0)\) を適用しています。

以上で見てきた通り、整数の範囲で、以下の定義は使えそうでした。

  • \({a}^{0}\stackrel{\mathrm{def}}{=}1\)
  • \({a}^{-m}\stackrel{\mathrm{def}}{=}\frac{1}{{a}^{m}}\)

なお、本来は、以下の③式~⑤式も検証が必要ですが、長くなりすぎてしまうため、今回は割愛しています。

また、①②式について、以下の場合は、【I】の確認から明らかなため、省略しています。

  • \(m=0\) の場合
  • \(m=0\) かつ \(n=0\) の場合

有理数への拡張

\(p\) 乗すると整数乗になる数の定義

引き続き、指数の範囲を拡張していきます。次は、有理数全体に拡張することを考えてみましょう。

整数→有理数へ拡張するにあたり、\(\frac{q}{p}\) 乗 \((p,q\) は整数、\(p\ne 0)\) を、以下のように定義します。(\(a>0\) )

\[{a}^{\frac{q}{p}}\ \stackrel{\mathrm{def}}{=}「({a}^{\frac{q}{p}})^{p}={a}^{q}\ を満たす正の実数」\]

(補足①)
\(p,q\) は整数、\(p\ne 0\) のため、\(\frac{q}{p}\) は、有理数となります。

(補足②)
底 \(a\) の条件ですが、高校では底が正の場合しか扱いませんので、 \(a>0\) としています。(対数関数で底の条件を調べたことがあるかもしれませんが、あれです)

ちなみに、このような「\(n\) 乗すると \(a\) になる正の実数」を、\(\sqrt[n]{a}\) と書きます。(読み方は、「\(n\) じょうこん \(a\)」です)

上の定義では、\({a}^{\frac{q}{p}}\) は、「\(p\) 乗すると、\(a^q\) になる正の実数」なので、

\[{a}^{\frac{q}{p}}=\sqrt[p]{a^q}\]

となります。

\(a^{\frac{q}{p}}\) の「気持ち」

では、上の定義がどのように生まれたのか。その「気持ち」の部分を見ていきましょう。
ここでは、わかりやすくするため、具体的な数字を入れて確かめてみます。

整数までの範囲で、「\({({a}^{-2})}^{3}={a}^{-6}\)」という指数法則が成り立つことを確認したのでした。

ここで、\(-2=\frac{-6}{3}\) と書き換えられることに注意すると、以下のような言い換えができます。

\[\begin{alignat*}{3}
&{a}^{-2}\ &=「{({a}^{-2})}^{3}={a}^{-6}\ を満たす正の実数」 \\
\Leftrightarrow\ &{a}^{\frac{-6}{3}}\ &=「({a}^{\frac{-6}{3}})^{3}={a}^{-6}\ を満たす正の実数」
\end{alignat*}\]

この、2行目は、まさしく、こちらの定義と同じ形をしていることがわかります!

\[{a}^{\frac{q}{p}}\ \stackrel{\mathrm{def}}{=}「({a}^{\frac{q}{p}})^{p}={a}^{q}\ を満たす正の実数」\]

したがって、整数までで成立していた関係を、そのまま維持した状態で、有理数まで定義を拡張するには、上のように定義するのがよさそうです。

\(a^{\frac{q}{p}}\) の定義により、有理数の範囲で指数法則が成り立つこと

そして、こちらの定義を導入することで、整数の範囲までで成立していた以下の指数法則が成り立つか確認してみると・・・有理数の場合でも成り立ちそうです!(ここでも①②だけ確認します)

  • \({a}^{m+n}={a}^{m}\cdot{a}^{n}\quad・・・①\)
  • \(({a}^{m})^{n}={a}^{mn}\quad・・・②\)
  • \({a}^{m-n}={a}^{m}\div{a}^{n}\quad(a\ne 0,m>n)・・・③\)
  • \({(ab)}^{m}={a}^{m}\cdot{b}^{m}\quad・・・④\)
  • \((\frac{a}{b})^{m}=\frac{{a}^{m}}{{b}^{m}}\quad(b\ne 0)\quad・・・⑤\)

なお、かなり計算が複雑になるので、結果だけ分かればいいよ、という方は、次の章まで飛ばしてください。

(先ほどの定義を適用した個所は、赤文字で記載します)

【①式】\({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}+\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}={a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\cdot{a}^{\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\)

整数 \({p}_{1},{q}_{1},{p}_{2},{q}_{2}\ ({p}_{1},{p}_{2}\ne 0)\) に対し、①式に有理数 \(\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}},\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}\) を代入すると、\({(左辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}={(右辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}\) となる。したがって、左辺=右辺で、OK

  • \({(左辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}=\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}+\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\Bigr)^{{p}_{1}{p}_{2}}=\) \(\Bigl({a}^{\frac{{p}_{2}{q}_{1}+{p}_{1}{q}_{2}}{{p}_{1}{p}_{2}}}\Bigr)^{{p}_{1}{p}_{2}}={a}^{{p}_{2}{q}_{1}+{p}_{1}{q}_{2}}\)
  • \({(右辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}=\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\cdot{a}^{\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\Bigr)^{{p}_{1}{p}_{2}}\)
    \(\stackrel{\mathrm{(A)}}{=}\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\Bigr)^{{p}_{1}{p}_{2}}\cdot\Bigl({a}^{\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\Bigr)^{{p}_{1}{p}_{2}}\)
    \(\stackrel{\mathrm{(B)}}{=}\) \(\biggl\{\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\Bigr)^{{p}_{1}}\biggr\}^{{p}_{2}}\cdot\biggl\{\Bigl({a}^{\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\Bigr)^{{p}_{2}}\biggr\}^{{p}_{1}}\)\(={({a}^{{q}_{1}})}^{{p}_{2}}\cdot{({a}^{{q}_{2}})}^{{p}_{1}}\)
    \(\stackrel{\mathrm{(B)}}{=}{a}^{{p}_{2}{q}_{1}}\cdot{a}^{{p}_{1}{q}_{2}}\)
    \(\stackrel{\mathrm{(A)}}{=}{a}^{{p}_{2}{q}_{1}+{p}_{1}{q}_{2}}\)

【②式】\(({a}^{m})^{n}={a}^{mn}\)

整数 \({p}_{1},{q}_{1},{p}_{2},{q}_{2}\ ({p}_{1},{p}_{2}\ne 0)\) に対し、①式に有理数 \(\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}},\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}\) を代入すると、\({(左辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}={(右辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}\) となる。したがって、左辺=右辺で、OK

  • \({(左辺})^{{p}_{1}{p}_{2}}=\biggl\{\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\Bigr)^{\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\biggr\}^{{p}_{1}{p}_{2}}\)
    \(\stackrel{\mathrm{(B)}}{=}\) \(\Biggl[\biggl\{\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\Bigr)^{\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\biggr\}^{{p}_{2}}\Biggr]^{{p}_{1}}=\biggl\{\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\Bigr)^{{q}_{2}}\biggr\}^{{p}_{1}}\)
    \(\stackrel{\mathrm{(B)}}{=}\) \(\biggl\{\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}}\Bigr)^{{p}_{1}}\biggr\}^{{q}_{2}}=\bigl({a}^{{q}_{1}}\bigr)^{{q}_{2}}\)
    \(\stackrel{\mathrm{(B)}}{=}\) \({a}^{{q}_{1}{q}_{2}}\)
  • \({(右辺})^{{p}_{1}{p}_{2}}=\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}}{{p}_{1}}\cdot\frac{{q}_{2}}{{p}_{2}}}\Bigr)^{{p}_{1}{p}_{2}}\)
    \(=\) \(\Bigl({a}^{\frac{{q}_{1}{q}_{2}}{{p}_{1}{p}{2}}}\Bigr)^{{p}_{1}{p}_{2}}={a}^{{q}_{1}{q}_{2}}\)

(補足①)
各式変形では、整数の範囲で確認済みの、以下の指数法則を適用しています。
(A):\({a}^{m+n}={a}^{m}\cdot{a}^{n}\)
(B):\(({a}^{m})^{n}={a}^{mn}\)

(補足②)
いずれの確認とも、\({(左辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}={(右辺)}^{{p}_{1}{p}_{2}}\Rightarrow(左辺)=(右辺)\)という結論について、本来は、もう少し厳密な議論が必要です。ただ、正の実数の範囲では、当然に「=」が成立するため、ここでは、サラっと認めています。

実数への拡張

以上で、有理数まで指数の定義を拡張することができました!

ここまで、かなり大変だったと思いますが、もうひと踏ん張り!最後に、実数までこの範囲を拡張してみましょう。
とはいえ、ここでは厳密な議論はできないため、なんとなく、「そんなものなのね」と気楽にご覧いただければと思います。

今、有理数まで拡張したことで、例えば、\({a}^{\frac{17}{10}},{a}^{\frac{173}{100}},{a}^{\frac{1732}{1000}},{a}^{\frac{17320}{10000}},・・・\) のような、指数が分数の形をした正の実数を考えることができるようになりました。
この指数の部分を、小数にした形と合わせて並べると、このようになります。

\[\begin{alignat*}{3}
{a}^{\frac{17}{10}}&={a}^{1.7} \\
{a}^{\frac{173}{100}}&={a}^{1.73} \\
{a}^{\frac{1732}{1000}}&={a}^{1.732} \\
{a}^{\frac{17320}{10000}}&={a}^{1.7320} \\
{a}^{\frac{173205}{100000}}&={a}^{1.73205} \\
{a}^{\frac{1732050}{1000000}}&={a}^{1.732050} \\
{a}^{\frac{17320508}{10000000}}&={a}^{1.7320508} \\
&・・・
\end{alignat*}\]

・・・。これを無限に続けていくと、\({a}^{\sqrt{3}}\) になりそうじゃないですか??

まさにその通りで、実際に、指数が無理数の場合は、このような操作(=有理数列の極限をとる)ことで定義されることになります。

おめでとうございます!これでようやく、指数を実数の範囲まで拡張することができました!

おわりに

今回は、指数の自然数以外への拡張を考えてきました。

  • ちょうど良さそうな定義を考える
  • その定義を前提とすることで、拡張後の範囲でも指数法則が成立することをチェック

という流れを辿ることで、
なんとなく、指数が自然数じゃない場合の「気持ち」がつかめたのではないかと思います。

また、なんとなく、「自然数で成立する法則なんだから、実数でも当然に成立するでしょ」と思われていた方にとっては、目からウロコだったかもしれません。

今回のような、身近な例では当然に成立しそうなのに、少し範囲を変えるとそれほど当然なことではない、というのが、数学の世界では、実は結構あります。

今回の解説を通じて、少しでも数学の世界に興味を持っていただければうれしいです!

実数 \(a\ (>0),b\ (>0),r,s\) に対し、

  • \({a}^{r+s}={a}^{r}\cdot{a}^{s}\)
  • \({a}^{r-s}={a}^{r}\div{a}^{s}\)
  • \(({a}^{r})^{s}={a}^{rs}\)
  • \({(ab)}^{r}={a}^{r}\cdot{b}^{r}\)
  • \((\frac{a}{b})^{r}=\frac{{a}^{r}}{{b}^{r}}\)

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