積分の公式(\({x}^{n}\) の積分・積分の線形性)

【\({x}^{n}\) の積分】
\(0\) 以上の整数 \(n\) に対して、

\[\int{x}^{n}\ dx=\frac{1}{n+1}{x}^{n+1}+C\quad(C は積分定数)\]

【定数係数と積分の関係】
積分と、定数 \(k\) は入替可能

\[\int kf(x)\ dx=k\int f(x)\ dx\]

【関数の和・差と積分の関係】
足し算・引き算をバラバラにできる

\[\int\{f(x)+g(x)\}\ dx=\int f(x)\ dx+\int g(x)\ dx\]

(※)2番目・3番目の関係を1つにまとめると、
  関数 \(f\),\(g\) と定数 \(k\),\(l\) に対し、

\[\int\{kf(x)+lg(x)\}\ dx=k\int f(x)\ dx+l\int g(x)\ dx\]

  と書けます。(線形性)

解説

(以下、このページでは、積分定数を \(C,C’,{C}_{1},{C}_{2}\) と記載します)

\({x}^{n}\) の積分

積分の公式を求めるため、積分が微分の逆演算であるということを利用します。

\(0\)以上の整数 \(n\) に対して、\({x}^{n+1}\) の微分は、以下のように変形できます。

\[({x}^{n+1})’=(n+1){x}^{n}\]

なお、このとき、\(n\) は \(0\)以上の整数のため、\((n+1)\) は自然数となります。\({x}^{k}\)(\(k\) は自然数)の形をした関数の微分については、こちらのページを参考にして下さい。

したがって、両辺を \((n+1)\ (\ne 0)\) で割ると、

\[\frac{1}{n+1}({x}^{n+1})’={x}^{n}\]

ここで、\(\frac{1}{n+1}\) は定数なので、微分の、微分と、定数は入替可能 という性質(線形性)を利用すると、左辺は、

\[\frac{1}{n+1}({x}^{n+1})’=\biggr(\frac{1}{n+1}{x}^{n+1}\biggr)’\]

と変形できます。微分の性質については、以下のページを参照してください。

そして、積分が微分の逆演算であるということに注意して、

\[\biggr(\frac{1}{n+1}{x}^{n+1}\biggr)’={x}^{n}\]

の両辺を積分すると、

\[\begin{alignat*}{3}
&\int\biggr(\frac{1}{n+1}{x}^{n+1}\biggr)’\ dx=\int{x}^{n}\ dx \\
&\ \Leftrightarrow \frac{1}{n+1}{x}^{n+1}+C=\int{x}^{n}\ dx\quad(\because 積分は微分の逆演算)
\end{alignat*}\]

したがって、左辺と右辺を入れ替えると、

\[\int{x}^{n}\ dx=\frac{1}{n+1}{x}^{n+1}+C\]

となり、公式が導出できました。

定数係数と積分の関係

こちらも、積分が微分の逆演算であるということを利用して導出します。

関数 \(f\) の原始関数を \(F\) とすると、

\[\begin{alignat*}{3}
\int f(x)\ dx&=F(x)+C&\qquad&・・・① \\
f(x)&=\{F(x)\}’&&・・・②
\end{alignat*}\]

と書けます。これらを利用して、

\[\int kf(x)\ dx\]

の式変形を考えると、

\[\begin{alignat*}{3}
\int kf(x)\ dx&=\int k\{F(x)\}’\ dx&\quad&(\because ②) \\
&=\int \{kF(x)\}’\ dx&&(\because 微分の線形性) \\
&=kF(x)+C’&&(\because 積分は微分の逆演算) \\
&=k(F(x)+C)&&(※)\\
&=k\int f(x)\ dx&&(\because ①)
\end{alignat*}\]

となり導くことができました。

(※)\(C=\frac{C’}{k}\) となるような \(C\) を用意しました。
あまり意味のある議論ではないため、わからない方は「そーなんだー」くらいで飛ばしてください。

関数の和・差と積分の関係

続いて、関数の和・差と積分の関係を確認します。こちらも、定数係数と積分の関係の導出と、ほぼ同じ流れになります。

まず、関数 \(f,g\) の原始関数をそれぞれ \(F,G\) とすると、

\[\begin{alignat*}{3}
\int f(x)\ dx&=F(x)+{C}_{1}&\qquad&・・・③ \\
f(x)&=\{F(x)\}’&&・・・④ \\
\int g(x)\ dx&=G(x)+{C}_{2}&&・・・⑤ \\
g(x)&=\{G(x)\}’&&・・・⑥
\end{alignat*}\]

と書けます。これらを利用して、

\[\int \{f(x)+g(x)\}\ dx\]

の式変形を考えると、

\[\begin{alignat*}{3}
\int \{f(x)+g(x)\}\ dx&=\int [\{F(x)\}’+\{G(x)\}’]\ dx&\quad&(\because ④⑥) \\
&=\int \{F(x)+G(x)\}’\ dx&&(\because 微分の線形性) \\
&=\{F(x)+G(x)\}+C’&&(\because 積分は微分の逆演算) \\
&=\{F(x)+{C}_{1}\}+\{G(x)+{C}_{2}\}&&(※)\\
&=\int f(x)\ dx+\int g(x)\ dx&&(\because ③⑤)
\end{alignat*}\]

となり、導くことができました。

(※)ここでも、\({C}_{1}+{C}_{2}=C’\) となるような \({C}_{1},{C}_{2}\) を用意しました。

(補足)積分の線形性

以上の検討で、こちらの以下の2つの関係が得られました。

\[\begin{alignat*}{3}
\int kf(x)\ dx&=k\int f(x)\ dx \\
\int\{f(x)+g(x)\}\ dx&=\int f(x)\ dx+\int g(x)\ dx
\end{alignat*}
\]

これらの関係は、このままでも、もちろん使えます。

、、、が、試験では、定数倍も、足し算・引き算も、両方混ざった式の積分を考えることが多いと思います。
(例えば、\(\int(2{x}^{3}+7{x}+3)\ dx\) …etc.)

そこで、試験の現場で少しでも使い勝手を良くするために、これらの式を1つにまとめることを考えます。

関数 \(f\),\(g\) と定数 \(k\),\(l\) に対し、

\[\int\{kf(x)+lg(x)\}\ dx\]

を式変形すると、

\[\begin{alignat*}{3}
&\int\{kf(x)+lg(x)\}\ dx \\
&=\int kf(x)\ dx+\int lg(x)\ dx\quad&&(\because 2つ目の関係「関数の和・差と積分の関係」より) \\
&=k\int f(x)\ dx+l\int g(x)\ dx&&(\because 1つ目の関係「定数係数と積分の関係」より)
\end{alignat*}\]

となり、1つの式にまとめることができました。この式から、積分の計算をするときは、

  • 定数倍は積分の外に出せる
  • 足し算・引き算を、バラバラにできる

ということがわかりました。(難しい言葉で、このような性質を 線形性がある といいます)

おわりに

今回は、\({x}^{n}\) の積分・積分の線形性について解説しました。

公式の導出過程を見ていただければわかるように、積分の公式は、積分は微分の逆演算であるということを前提にして、微分の性質を利用して導出します。

、、、ということは、微分の性質についての理解が十分でなければ、積分の理解もなかなか難しくなってしまいます。

微分の性質について不安が残る方は、こちらのページを理解できるまで読んで、ぜひ、自分のものにしていただければと思います。

【\({x}^{n}\) の積分】
\(0\) 以上の整数 \(n\) に対して、

\[\int{x}^{n}\ dx=\frac{1}{n+1}{x}^{n+1}+C\quad(C は積分定数)\]

【定数係数と積分の関係】
積分と、定数 \(k\) は入替可能

\[\int kf(x)\ dx=k\int f(x)\ dx\]

【関数の和・差と積分の関係】
足し算・引き算をバラバラにできる

\[\int\{f(x)+g(x)\}\ dx=\int f(x)\ dx+\int g(x)\ dx\]

(※)2番目・3番目の関係を1つにまとめると、
  関数 \(f\),\(g\) と定数 \(k\),\(l\) に対し、

\[\int\{kf(x)+lg(x)\}\ dx=k\int f(x)\ dx+l\int g(x)\ dx\]

  と書けます。(線形性)

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